しかし、その会社のある支店のA子さんは、違っていました。 ある暑い日、お客様が汗をふきふき、羽織っていた長そでのブラウスを脱ぎながら入っていらっしゃったのを見て、
A 子 ”いらっしゃいませ。こんにちは。暑いですね。ここのクーラー弱くないですか。”
お客様 ”涼しいわよ。あんまり汗を書いたもんだから、冷やそうと思って・・・”
A 子 ”そうですね。日差しも強いですからね。”
お客様 ”そう、外回りの仕事だから、袖のあるもの着てないと、もう焼けてしみだらけよ。”
A 子 ”そうですか。私も、昨日焼けて、今日ヒリヒリしてるんですよ。そうぞ、涼んでいって下さい。”
そうこうしている間に、事務処理もスムーズに終わり、
A 子 ”ありがとうございました。お仕事頑張ってください。お気をつけて。”
同じ時間なのに、前者の社員の時より、時間の経つのが早く感じた気がしました。前者の社員がマニュアル通
りに話しているのに対して、後者の女性はお客様の状況、表情、仕草などから感じたことを話しているのです。さらに、自分が相手だったらと想像して話し掛けているのです。
つまりその会話は当然、相手によって異なるし、そのきっかけは相手が教えてくれるのです。 A子さんは好奇心旺盛です。
いろんなことに興味を持ち、相手に関心を持っていると、聞いてみたいことがすぐに浮かぶのだそうです。
そして、もし自分が相手の状況だったら・・・立場を置き換えて想像してみるのです。
そうすると、こころから、”大変ですね〜。”というように、気持ちのこもった表情と言葉がでるのです。
彼女は特に素晴らしかったのですが、A子さんがいるその支店では、他の女子社員も勝るとも劣らず、お客様との会話が自然で、店内も明るく感じました。
どうすればこんなにスムーズに会話ができるのでしょうか。

その原因として、その支店で特に取り組んでいることが上げられます。
それは、社員同士の挨拶、声がけです。
”おはようございます。風邪良くなりましたか。”
”いってらっしゃい。気をつけて。”
”この書類お願いします。
”はい。かしこまりました。”
”お帰りなさい。暑かったでしょう。”
普段の何気ない会話をあえて、なあなあにせず、きちんとした言葉で話します。そして大切なのは、単に挨拶だけでなく、もう一つその場に合った言葉を添えることです。何でもないことのようですが、つい慣れると、忘れてしまいがちな挨拶と声がけに力を入れています。
この取り組みを続けることによって、いつの間にか、お客様に対してもぎくしゃくせず、自然に、その状況・その相手に合った挨拶、声がけができるようになったのだと思います。
歯科スタッフの研修においても、ドクターからの要望には、”患者さんとの会話や挨拶がスムーズにできるようになってほしい。”ということが多く上げられます。
言葉の言い方や、種類はマニュアルで教えることはできますが、大切なのは、相手と状況に合わせた言葉選びそしてそのタイミングです。まさにカンを養うしかないのです。
しかし、ひとつ出来るとすれば、先程上げた取り組みでしょう。
対患者さんだけでなくまずは、医院内でのスタッフ間の会話、声がけからこだわってみることをお勧めします。決してなあなあにしてはいけないのです。
このことによって、患者さんとのコミュニケーションも自然になるし、何よりも医院内もけじめあるいきいきとした職場になるのではないでしょうか。
まさに一石二鳥の効果です。是非試してみて下さい。
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